自主開示基準
自主開示基準とは、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)が1999年に独自に定めた情報開示のルールです。目的は、フランチャイズ本部と加盟希望者との間における情報の非対称性を緩和し、より透明性の高いフランチャイズビジネスを実現することにあります。
法律の対象外もカバーする「自主的なルール」
日本には「中小小売商業振興法」によって、特定業種のフランチャイズに対し、事前の「法定開示書面」の交付が義務付けられています。しかし、すべてのフランチャイズ業種がこの法律の対象になるわけではありません。
このためJFAは、法律の適用外となる業種にも透明性を持たせるために、自主的な情報開示基準を定めたのです。JFAに加盟するすべての本部はこの基準を尊重し、加盟希望者への説明責任を果たすよう求められています。
開示される主な項目
「自主開示基準」で定められた情報は、法定開示書面(22項目)に加えて、さらに詳細なデータが含まれています。たとえば:
- 直営店・加盟店の別を明示した売上高・店舗数の5年間の推移
- 経常利益・税引後利益などの財務データ
- 本部の役員一覧
- フランチャイズ事業に関連する訴訟・トラブル履歴
- 加盟契約終了後の対応実績(契約解除件数など)
こうした情報を開示することで、本部の財務状況や拡大の実績、組織体制、健全性などを、加盟希望者が事前に把握しやすくなります。
加盟希望者への配布と提出義務
JFAでは、この自主開示基準に基づく資料(=自主開示書面)を、フランチャイズへの加盟を検討している希望者に事前に説明・配布することを推奨しています。さらに、JFAに加盟しているフランチャイズ本部は、この開示書面を協会(JFA)にも提出する義務があります。
加盟希望者にとっては、本部の信頼性や将来性を見極める重要な材料になるため、資料請求や面談の段階でこの書面の有無を確認することが非常に重要です。
まとめ
自主開示基準は、法律の枠組みを補う「フランチャイズ本部の信頼性を測る一つの基準」です。フランチャイズ加盟は中長期にわたるパートナーシップであり、事前の情報が不十分だとトラブルにつながりやすくなります。
しっかりとした本部であれば、この自主基準に基づく資料を用意し、透明性ある説明を行ってくれます。加盟を検討する際は、パンフレットや説明会の内容だけでなく、「自主開示書面」を活用して、本部の実態を冷静に見極める視点を持ちましょう。