テリトリー制
テリトリー制とは、フランチャイズ本部が加盟店に対し、特定地域内での営業権や商圏を保証する制度のことです。
一定のエリア内において他の加盟店や本部直営店が出店できないように制限をかけ、加盟店の収益機会を守る仕組みとして設けられています。
この制度は、店舗同士が過度に競合しないようにする一方で、フランチャイズ本部と加盟店の信頼関係やビジネスの公平性を保つための重要なルールでもあります。
主な2つのテリトリー制度のタイプ
テリトリー制には、大きく分けて以下の2つの方式があります。
オープンテリトリー制
オープンテリトリー制は、テリトリーの範囲が明確に定められていない制度です。
コンビニやファストフード業態など、多店舗展開が前提となっている業種でよく採用されています。
- 基本的に出店の独占権はなし
- 同じブランドの別店舗が、近隣に出店される可能性がある
- 競争が激しくなる反面、エリア内でのマーケットの広がりが期待できる
本部としては、出店スピードを重視して柔軟に拡大できるメリットがありますが、加盟店から見ると「隣に競合店が出るリスク」があるため、十分な説明と合意が求められます。
クローズドテリトリー制
クローズドテリトリー制は、特定の地域や商圏に対して、加盟店に独占的な営業権(排他権)を保証する制度です。
- 対象エリア内に他の店舗が出店できない
- 加盟店は安心して営業活動や販促活動に集中できる
- その代わり、エリア外での販売・広告は制限されることが多い
たとえば、半径1km以内に新規出店が禁止されるといった明確なルールが設けられます。加盟店にとっては、安定した集客が見込めるという意味でメリットが大きい制度です。
クローズドテリトリーの注意点:独占禁止法との関係
クローズドテリトリー制は、法律的に注意すべきポイントもあります。
特に、**独占禁止法における「拘束条件付き取引」**に該当する可能性があるためです。
具体的には、
- 正当な理由もなく「このエリアだけでしか販売してはいけない」と制限する
- 競合する業態の展開や他エリアへの販路拡大を一方的に禁止する
といった行為が、「不当な取引制限」と判断されることがあります。
クローズドテリトリー制を設ける場合は、本部側が「なぜその範囲なのか」「どういった合理的根拠があるのか」を明示する必要があります。
たとえば、以下のような理由であれば“正当な制限”とみなされやすくなります:
- 店舗密度の最適化による収益安定
- 品質維持やサポート体制の観点から出店を制限する必要がある
- 加盟者の投資回収を守るための配慮として設定されている
そのため、契約書に「営業エリア(テリトリー)」の明記があるかどうか、どこまで排他権があるかなど、加盟前の確認が非常に重要です。
フランチャイズ選びにおけるテリトリーの確認ポイント
加盟を検討する際には、以下のような点をチェックしましょう:
- テリトリーの範囲は明確に設定されているか
- 同一エリアに本部や他加盟者が出店する可能性はあるか
- 契約書にその内容が明記されているか
- テリトリー制が無い場合、その理由や代替のメリットは何か
- 既存の出店エリアマップを提示してもらえるか
本部によっては、柔軟な出店支援制度や優先出店権などを設けて、競合回避をフォローしているケースもあります。
まとめ
テリトリー制は、フランチャイズにおける“商圏の取り合い”を防ぎ、加盟店が安定的に事業を運営できるようにするための制度です。
- 出店自由度の高い「オープンテリトリー制」
- 営業独占権が得られる「クローズドテリトリー制」
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分のビジネスプランに合った制度を選ぶことが重要です。
また、法律面のリスクにも配慮しながら、本部との契約内容をしっかり確認することが、成功への第一歩となります。