立地調査

立地調査とは、フランチャイズで店舗を出店する際に、その場所がビジネスに適しているかどうかを判断するための現地調査のことです。
日本のフランチャイズの多くは「ビジネスフォーマット型」と呼ばれ、本部が店舗運営のノウハウや仕組みを提供するスタイルです。
そのため、出店する場所の選定は非常に重要であり、本部による立地調査が成功のカギを握ります。

立地調査の目的

立地が悪ければ、どれだけ良い商品やサービスを提供しても集客が見込めず、売上が伸びません。
逆に、立地が良ければ、競合との差をつけやすく、安定した集客が期待できます。

そのため、フランチャイズ本部は、加盟希望者が出店を希望する場所について、「その場所で本当に成功できるのか?」を慎重に分析します。
これが「立地調査」の目的です。

主な調査項目

立地調査では、以下のようなさまざまな要素が調査対象になります。
本部によって基準は異なりますが、以下はよく見られる共通の項目です。

商圏規模(しょうけんきぼ)

店舗を中心としたエリアに、どれくらいの人口や世帯数があるかを調べます。
これにより、見込める顧客数のボリュームを把握できます。

交通動態(こうつうどうたい)

人や車がどの方向から流れてくるか、どこに向かうのかを分析します。
通勤・通学ルートや道路の一方通行なども考慮されます。

店前通行量(みせまえつうこうりょう)

お店の前を1日に何人が通るか、時間帯ごとの変化などを調査します。
とくに飲食店や小売店では、通行量が多いかどうかが重要な指標になります。

店舗形状

建物の広さ・間口・奥行き・天井の高さ・設備の有無などを確認します。
業態に応じて、使いやすい形や広さが変わります。

視認性(しにんせい)

遠くからでも店舗が見えやすいかどうか、目立つ位置にあるかをチェックします。
看板の設置場所や角地かどうかも評価ポイントになります。

競合店の状況

近隣に同じ業種の店舗があるか、ある場合はその強さ・価格帯・営業時間などを比較します。
競合が多すぎると苦戦する可能性がありますが、逆に集客エリアとして活性化しているケースもあります。

共通の調査基準は存在しない

立地調査の評価基準は、フランチャイズ本部ごとに独自のノウハウや経験値に基づいて設定されています。
たとえば、ファストフードチェーンと学習塾では、適した立地条件が大きく異なります。

そのため、共通の「正解」は存在せず、業種やブランドによって判断基準が変わるという点を理解しておくことが重要です。

加盟者が知っておくべきこと

加盟希望者にとって、立地調査は本部のサポート体制を確認する重要な機会でもあります。
信頼できる本部であれば、以下のような対応が期待できます:

  • 現地視察を伴う丁寧な調査
  • 過去データとの比較や根拠に基づく説明
  • 出店の「可否」だけでなく、改善案や代替案の提案

一方で、調査を簡略化してしまう本部も存在します。
「この場所で本当に成功できるのか?」を自分でも納得できるように確認する姿勢が大切です。

まとめ

立地調査は、フランチャイズ出店において成功するか失敗するかを左右するほど重要なプロセスです。
本部の経験や判断力が活きる場面でもあり、加盟者としてもその内容を理解し、納得のいく場所選びをすることが求められます。

焦らず、慎重に。そして客観的なデータと経験に基づいた判断を行いましょう。