クーリングオフ
一定期間内なら、理由を問わず契約をなかったことにできる“消費者の撤回権”
クーリングオフは、事業者が一般消費者と結ぶ特定の取引について、所定期間内に書面(または電磁的記録)で通知すれば、無条件で契約を解除・返品できる制度です。対象と期間は取引の種類で異なります。
代表例と期間の目安:訪問販売・電話勧誘販売・訪問購入は8日間、連鎖販売取引(マルチ商法)や業務提供誘引販売取引は20日間。通信販売は原則対象外(特約がある場合を除く)。
通知は、期間内に発信(郵便の消印・送信記録など)があれば有効とされるのが一般的です。事業者の同意や違約金は不要で、支払済み代金は返金、商品の引取り費用も事業者負担が原則になります。
フランチャイズとの関係
フランチャイズ契約は事業者(本部)と事業者(加盟者)とのBtoB契約であり、クーリングオフは消費者保護制度のため、原則として適用されません。そのため、サイン後は契約条項(解除・違約金・合意解約など)に従って処理することになります。
もっとも、加盟検討の公正さを担保するため、自主的に“熟考期間”やクーリングオフ相当の特約を設ける本部もあります。例として、説明資料と契約書案の交付から7〜14日間は契約締結不可とする運用、あるいは申込金の全額返還を約する取り決めなどです。これは法定のクーリングオフではなく、本部の任意運用(契約上の特約)である点に注意してください。
加盟希望者が確認しておきたい最小ポイント
- 検討猶予:資料交付日から何日間、契約締結を見送るかが明文化されているか。
- 申込金・預り金の扱い:返還条件・期限・振込手数料の負担先が明確か。
この二つが契約書(または覚書)に書かれていれば、拙速なサインや“言った言わない”のリスクを大きく減らせます。加えて、契約前に法定開示書面(ある場合)・契約書案・モデル収支・ロイヤルティ算式・解約条項を受領し、第三者(専門家)を交えて読み込むのが安全です。
まとめ
クーリングオフは消費者向けの強力な撤回権で、フランチャイズのBtoB契約には基本適用されません。だからこそ、フランチャイズでは事前の熟考期間を確保する運用や、申込金の返還条件を契約で整えることが重要です。制度の適用可否を正しく理解し、“急がず、書面で”を徹底して判断しましょう。