固定費
フランチャイズ経営における“見えないリスク”と“見直しポイント”
固定費とは、売上の有無や客数に関係なく、毎月必ず発生する費用のことです。人件費、家賃、光熱費、通信費、保険料、設備のリース代などが主な固定費にあたります。
たとえばお客様が来なくても、店舗を開ければ人は雇い、電気も使い、家賃も払う必要があります。こうした費用は「変動費(売上や稼働に応じて増減する費用)」とは性質が異なり、収益の下支えであると同時に、経営を圧迫するリスクにもなり得ます。
フランチャイズでは、売上を伸ばす工夫と同じくらい、固定費の管理と改善が重要なテーマです。見直しを怠ると、売上が出ていても利益が残らない“黒字倒産”に近づいてしまうこともあります。
なぜ固定費の管理が重要なのか
固定費は、ある意味「経営のクセ」が出る部分です。最初に契約・導入した内容のまま放置されがちですが、ここに無駄が潜んでいるケースは少なくありません。
店舗経営の利益は、次のような公式で表せます:
利益 = 売上 -(固定費 + 変動費)
つまり、売上をいくら伸ばしても、固定費が重すぎれば利益は残りません。逆に、売上が少し停滞しても、固定費が抑えられていれば黒字を維持することが可能です。経営の安定性を高めるためには、まずこの“毎月必ず出ていくお金”を正しく把握し、最適化することが欠かせません。
フランチャイズでよくある固定費の内訳
以下は、フランチャイズ店舗で代表的な固定費項目です。
- 人件費
スタッフの給与、社会保険、交通費など。業務効率化や適切なシフト管理でコントロール可能です。 - 家賃・テナント費用
立地や広さにより大きく異なります。業態に合ったスペースの見直しが重要です。 - 光熱費・水道代
空調・厨房機器・照明などに関わる費用。省エネ対策や業者変更で抑える余地があります。 - 通信費・システム利用料
インターネット、電話、クラウドPOS・会計ソフトなど。不要な契約が残っていないか確認しましょう。 - 保険・リース・メンテナンス費用
店舗や設備にかかる保険、備品リース料、定期点検費など。長期契約の見直しがカギです。
固定費を見直す3つのステップ
- “見える化”する
まずは固定費の内訳をすべて洗い出し、月ごとに金額を整理します。簿記や会計の知識がなくても、Excelなどでカテゴリ分けするだけでも効果があります。 - “変えられる項目”を探す
全ての固定費が削減できるわけではありません。人件費、光熱費、契約内容など“変えられる支出”に着目し、現実的な調整を目指します。 - “定期的に”見直す習慣をつける
一度の見直しではなく、季節や事業成長に応じて柔軟にアップデートしていくことが大切です。
本部サポートと固定費の関係
優れたフランチャイズ本部は、固定費の最適化にも支援を行っています。
- 標準的なシフト管理表の提供
- 導入コストを抑える一括仕入れ・共同契約
- 光熱費プランや保険契約の交渉代行
- システムのライセンス費一部負担
- 店舗設計・什器配置による効率化提案
このように、開業後に「経営が苦しい」とならないよう、本部が固定費の負担を軽減する仕組みを持っているかは非常に重要です。資料請求時には、その点も必ず確認しておきましょう。
KPIで見る固定費の“効率性”
固定費は単なる支出ではなく、売上とのバランスを見て初めて評価できます。代表的なKPI(重要業績評価指標)は以下のとおりです。
- 人件費率 = 人件費 ÷ 売上
- 家賃比率 = 家賃 ÷ 売上
- 光熱費比率 = 光熱費 ÷ 売上
- 固定費合計 ÷ 売上 = 固定費率
業種や規模によって基準は異なりますが、これらの指標を使えば、利益を削る“見えないコスト”を客観的に把握できます。
よくある誤解の整理
固定費は削れない?
見直せば意外と調整可能な項目が多くあります。削減ではなく“最適化”と考えましょう。
売上さえ上がれば大丈夫?
固定費が高いと、売上が上がっても利益が残らないケースが多いです。
フランチャイズだから全部本部任せでOK?
ノウハウや支援はありますが、店舗ごとに最適な管理が必要です。
まとめ
固定費は、店舗運営を続けるうえで避けては通れない支出です。しかし、この固定費を正しく理解し、適切にコントロールできれば、利益は確実に積み上がります。
フランチャイズを選ぶ際は、派手な売上モデルや宣伝よりも、「固定費をどう支援してくれるか」「利益を残せる仕組みがあるか」に注目することが、安定経営への近道です。
ご要望があれば、「変動費」「損益分岐点」「キャッシュフロー」などの用語との関連も踏まえた展開も可能です。続けて他用語をご希望でしたら、お知らせください。