- 業界ニュース
- 2025.09.12
サンマルクホールディングス、農事業子会社「株式会社サンマルクファーム」を設立
コメ・小麦の生産/販売に本格参入し、グループ内消費による安定調達とナレッジ活用を推進

株式会社サンマルクホールディングス(本社:岡山市、代表取締役社長:藤川 祐樹)は、コメ・小麦などの農産物の生産・販売を行う事業会社として「株式会社サンマルクファーム」を設立。農事業への参入により、食材の安定調達とサステナブルなサプライチェーンの構築を進める。
設立の背景
近年、主食であるコメは価格高騰と長期的な需要減少が重なり、市場価格が不安定な状況にある。農家側では、経営安定化に向けた農地の効率運用や裏作の推進が求められる一方、高齢化や人手不足により労働力の確保が喫緊の課題となっている。
小麦については需要が伸びる一方、国産生産量は年産約100万トンで横ばい。小ロットに対応できる製粉体制の不足などから品質管理の難度が高く、一定規模の生産・流通体制の整備が不可欠。また、近年の企業による農業参入では、安定した販売先の確保が経営安定化の障壁となってきた。外食産業全体でも、事業拡大に伴い持続可能な食材調達への危機感が高まっている。
取り組みの概要と狙い
新会社の設立により、これまで参入障壁とされてきた「安定販路」を自社グループ内消費で解決し、農事業の収益安定化を図る。生産したコメ・小麦などの農産物は、国内外850店舗超のネットワークを通じて活用・訴求。加えて、レストラン・カフェに加える形で農作業という新たな働く場を用意し、労働力確保と職種多様化を同時に進める。これにより、グループの調達基盤強化、地域農業への貢献、人材活用の選択肢拡大を実現。
新会社の概要(株式会社サンマルクファーム)
- 所在地:熊本県宇城市松橋町南豊崎619番地6
- 資本金:1,000万円
- 役員:代表取締役 藤川 祐樹/取締役(農場長) 原田 悠士
- 営業開始(圃場契約)日:2025年11月初旬
- 事業内容:コメ・小麦をはじめとする農産物の生産、加工および販売
サンマルクグループは、企業理念「私たちはお客様にとって最高のひとときを創造します。」のもと、社員の成長支援と農業分野の社会課題解決に取り組みます。働き方の多様化、労働力確保、農事業経営の安定化を通して、持続可能な社会に資する“最高のひととき”の創出を目指します。
編集部コメント
外食大手による川上への垂直統合は、原材料価格の変動リスク分散、調達の安定化、トレーサビリティ強化という三つの観点で合理的です。とくに米・小麦はメニューの基幹食材であり、グループ内消費を前提とした農事業は原価安定とESGストーリー(国産・生産者可視化)の両面でブランド価値を底上げします。850超の店舗ネットワークを活用した「産地発の情報発信」も差別化要素になり得ます。
一方で、農業は天候・病害・収量ブレに加え、乾燥・調整・製粉など加工工程のボトルネックが収益性を左右します。自社圃場のみでの完結にこだわらず、契約栽培や共同加工のパートナー戦略を併走させること、用途別(パン・麺・菓子等)の規格統一と品質設計を早期に固めることが要諦です。人材面では、店舗と農場の越境ローテーションを仕組み化できれば、繁忙期の労働力確保と従業員エンゲージメントの両立が見込めます。
内製比率(米・小麦の自給度)、原価変動幅と在庫回転、歩留まり・廃棄率、店舗満足度(品質・供給安定)を基本に、サステナビリティ指標(GHGや水使用の見える化)を添えると投資家・取引先への説得力が増します。「安定販路×品質設計×加工・物流の最適化」を三位一体で磨けるかが、フランチャイズモデルの持続性を決めるポイントとなるでしょう。