臨店

フランチャイズ本部と加盟店をつなぐ「現場の接点」

臨店とは、フランチャイズ本部から派遣されたスーパーバイザー(SV)が、加盟店を直接訪問して経営状況やオペレーションを確認・指導する行為を指します。「訪店(ほうてん)」とも呼ばれ、単なる視察ではなく、店舗の実態を見て問題点を共有し、本部と加盟者の橋渡しをする非常に重要な役割を担っています。

本部の方針や販促施策、店舗ごとの数値データだけでは分からないリアルな現場の声や温度感を拾い上げるため、臨店はフランチャイズ運営の要と言っても過言ではありません。

臨店の主な目的

店舗の状況を正しく把握することが大前提となります。売上データやシフト表、衛生状態、接客の様子、在庫の動きなど、さまざまな視点から店舗を観察します。その上で、店舗が直面している課題に対して本部からの提案や指導が行われます。

また、臨店は単に現場を「管理」する目的だけでなく、「支援」を重視したスタンスも求められます。加盟店が独立した経営主体であることを尊重しながら、成果につながるアドバイスを届ける姿勢が重要です。

加盟店にとっての臨店の意味

加盟店にとって臨店は、本部との関係を深める貴重な機会でもあります。定期的に訪問してもらうことで、孤立感が減り、悩みや課題を相談しやすくなります。売上改善のアドバイスや業務効率の見直しなど、実務的なサポートも得られます。

ただし、臨店の頻度が高すぎたり、指導内容が一方的であると、自由な経営が阻害されたと感じる加盟店もあるため、本部側には配慮が必要です。

フランチャイズ本部にとっての臨店の役割

本部にとっては、チェーン全体の品質維持とブランド統一のために、臨店は欠かせない活動です。直営店のように完全にコントロールできない加盟店に対しても、定期的なコミュニケーションを通じて水準の維持を図る必要があります。

近年では、SV自身のスキル向上や訪問の効率化のため、タブレットを使った点検システムや、訪問記録のデジタル管理なども進んでいます。また、コロナ禍を機に、オンラインでの「リモート臨店」など新しいスタイルも広がりつつあります。

臨店の今後と進化

これからの臨店は、単に本部からの監視や指導という形ではなく、より柔軟で双方向的な「支援型」へと変化していくと考えられています。AIやIoTを活用した遠隔サポート、加盟店が自ら課題に気づけるような仕組み作りなども求められており、時代とともに臨店のあり方も進化しています。