荒利分配方式
粗利を基準にロイヤルティを決める計算方法
フランチャイズのロイヤルティ算出で使われる方式の一つで、「売上総利益(=荒利・粗利)」を本部と加盟者で按分する考え方です。とくにコンビニエンスストアで広く採用されています。
基本式はシンプルで、売上高 − 売上原価 = 荒利益高、この荒利益高に所定のロイヤルティ率(チャージ率)を乗じた金額を、本部へ支払います。
仕組みとねらい
売上そのものではなく粗利を基準にするため、値入(原価率の改善)や廃棄・値引の抑制、在庫最適化といった“利益の質”を高める努力が双方にインセンティブとして働くのが特徴です。売上歩合方式(売上に定率を課す)に比べ、単価や原価、ロス管理の巧拙がよりダイレクトに反映されます。
かんたん試算(イメージ)
月商1,000万円、売上原価700万円なら荒利益高は300万円。ロイヤルティ率が45%なら、ロイヤルティ=300万円×45%=135万円。残る165万円から、人件費・光熱費・家賃などの経費を賄い、最終的な営業利益が決まります。
契約で必ず確認したい“定義”と“計算”
同じ「荒利分配」でも、何を荒利に含めるかの取り扱いで実入りが変わります。たとえば、廃棄ロスや見切り値引、メーカーリベート・販促補助金、指定資材のコストを荒利に加減算するか/別費目にするかはチェーンごとに異なります。また、チャージ率の段階制(売上・荒利に応じて率が変わる)、最低保証、精算サイクル(締め日と入金日)の有無も要チェックです。
他方式との違い
- 売上歩合方式:売上高に対して定率。粗利の作り方が反映されにくい反面、見通しは立てやすい。
- 固定ロイヤルティ:毎月定額。売上変動の影響は小さいが、低売上期の負担が重くなりやすい。
荒利分配方式は、原価・廃棄・値引きのコントロールが得意なオーナーほど有利に働く設計と言えます。
まとめ
荒利分配方式は「粗利を一緒に高め、その果実を分け合う」発想のロイヤルティです。資料や契約では、荒利の定義・チャージ率の決まり方・ロスや値引の扱い・精算のタイミングを、自分の言葉で説明できるまで確認してください。一本の率だけで判断せず、自店の収支表に当てはめてワースト/ベース/ベストの三通りを試算しておくと、実際の手取りを誤算しにくくなります。