独占禁止法

独占禁止法は正式名称を「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といい、日本における公正な市場競争を守るための基本的な法律です。
企業が自由に事業活動を行い、消費者にとっても多様で質の高い商品・サービスが適正価格で提供されるようにすることが目的です。

独占禁止法が必要な理由

市場では、複数の事業者が価格、品質、サービスなどを競い合うことで、消費者は多くの選択肢から自由に商品を選ぶことができます。この競争によって、

  • より良い商品やサービスが生まれ
  • 適正な価格が維持され
  • 消費者の利益が守られる

といった健全な市場の仕組み(=自由競争)が保たれます。
しかし一部の事業者が不正に他社の競争を妨害したり、市場を独占したりすると、この仕組みが崩れてしまいます。
そこで、そういった行為を制限・禁止するのが独占禁止法
です。

主に禁止されている行為

独占禁止法では、以下のような行為が禁止されています:

  • 私的独占:特定の企業が市場を支配し、他の企業の活動を妨げる行為
  • カルテル(談合):複数企業が価格や販売方法について事前に話し合って決める行為
  • 不当な取引制限:競合の取引先を囲い込む、取引条件を不当に変更するなどの行為
  • 優越的地位の濫用:立場の強い企業が、立場の弱い企業に不利な条件を一方的に押し付ける行為
  • 再販売価格の拘束:小売店などに「定価でしか売ってはいけない」と強制すること(原則禁止)

フランチャイズとの関係性

フランチャイズビジネスでは、本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)の関係においても、独占禁止法の規制が及びます
たとえば以下のような事例は、違反に該当する可能性があります:

  • 本部が一方的にロイヤリティや仕入価格を変更し、不当に負担をかける
  • 加盟店に対して、他社との取引や仕入を不当に制限する
  • 本部が契約更新や物件選定などで優越的地位を利用して不公平な判断を行う
  • 販売価格を一方的に指示し、変更を認めない(再販売価格の拘束)

これらの行為が独占禁止法に違反すると、公正取引委員会から是正命令が出される場合があります。

公正取引委員会のガイドライン

フランチャイズビジネスにおける独占禁止法の運用に関して、公正取引委員会では「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法の考え方について」というガイドラインを公開しています。

このガイドラインでは、

  • 本部がどのような条件で指導・統制することが許されるか
  • 加盟店にとって不利益な契約条件や慣習のリスク
  • 法に抵触しない健全なフランチャイズ運営のあり方

といった観点で、具体的なケースや判断基準が示されています。

加盟検討時に気をつけたいこと

フランチャイズに加盟する前には、次の点をよく確認することが大切です:

  • 契約書に一方的すぎる条件が書かれていないか
  • ロイヤリティや商品仕入れの条件が明確かつ妥当か
  • 契約更新や解約条件が公正に定められているか
  • 本部の指示が「強制」なのか「推奨」なのか

問題のある契約内容や慣習があった場合には、独占禁止法の観点からも是正を求められる可能性があることを理解しておきましょう。

まとめ

独占禁止法は、企業同士の自由で公正な競争を守り、消費者と事業者の双方の利益を保護するための法律です。
フランチャイズビジネスでも、その影響は非常に大きく、契約内容や取引条件がこの法律に違反していないかのチェックは、加盟前に必須です。

健全なフランチャイズ本部ほど、独占禁止法を理解し、加盟店との信頼関係を大切にした制度設計を行っています。資料請求時や面談時には、本部の対応姿勢もよく観察してみてください。