契約タイプ

フランチャイズ契約は大きく三つの型に分けられます。どの型を選ぶかで、初期投資、自由度、ロイヤリティ、立ち上がりスピードが変わります。ここでは特徴と向き不向きをコンパクトに整理します。

ビジネス・フォーマット型フランチャイズ

最も一般的な方式です。本部が磨き上げたビジネスモデル一式(ブランド、商品・サービス、マニュアル、研修、販促・ITシステムなど)をパッケージとして提供し、加盟者は同一チェーン名で出店・運営します。
パッケージに「店舗そのもの」は含まれないため、物件取得や内装工事は原則として加盟者の責任です。ただし多くの本部が、立地調査、設計監修、施工会社の紹介、資金計画の助言まで一連のサポートを用意しています。自由度は一定確保しつつも、ブランド標準を守る運営が求められます。スケール志向のオーナーや、複数店展開を視野に入れる人に向いています。

ターンキー型フランチャイズ

本部が物件から内装・設備まで用意し、加盟者は“鍵を受け取ればすぐ開業できる”方式です。コンビニでは「Cタイプ」と呼ばれる形態が該当します。出店準備の手間と初期費用を抑えられ、立ち上がりが速いのが最大の魅力です。
一方で、投資を本部側が先に負担する分、ロイヤリティや本部精算の条件が相対的に重く設定されるケースが目立ちます。店舗仕様の自由度も低めです。「早く確実に回したい」「本業と両立しながら運営の型に乗りたい」人には相性が良い半面、内装やメニューに独自性を出したい人には不向きです。

コンバージョン型フランチャイズ

すでに同業で営業している独立店・ローカルチェーンが、看板や運営基準、予約・販売システムを本部のものに切り替える方式です。ホテルや不動産仲介(例:コンフォートホテル、センチュリー21)でよく見られます。既存の店舗・スタッフ・顧客基盤を活かしながら、知名度、集客導線、共同購買、教育体系を取り込めるため、短期間でのテコ入れが可能です。
注意点は、改装やシステム移行の初期費用、価格方針の変更に伴う既存客の離反、ブランド標準による自由度の低下です。移行後の数値(粗利率、集客、口コミ)がどのくらい改善するかを事前に試算し、契約でデータの扱いと支援範囲を明確にしておくと安心です。

まとめ

選定の目安として、自由度や独自性を重視するならビジネス・フォーマット型、スピードと省力化ならターンキー型、既存事業の底上げならコンバージョン型が候補になります。いずれも、ロイヤリティの算定方法、初期・月次の総コスト、支援の範囲、解約や更新の条件を自分の言葉で説明できるまで確認してから意思決定するのが鉄則です。