最低保証制度
最低保証制度とは、フランチャイズ加盟店の売上状況にかかわらず、本部が定めた一定の収入額を下回った場合に、その差額を本部が補填する仕組みのことです。
主にコンビニエンスストア業界で導入されており、加盟者の収入を一定水準で保証する制度として知られています。
仕組みの概要
通常、フランチャイズでは以下のような流れで利益が分配されます:
- 加盟店が商品を販売し、売上を得る
- 売上から仕入原価を差し引いた「売上総利益(粗利)」が算出される
- そこからフランチャイズ本部へロイヤリティ(運営費)を支払う
- 残った金額が加盟店の手元に残る利益となる
しかし、売上が少ない月には、加盟者の利益が極端に減ってしまうこともあります。
こうした場合に、加盟店の利益が本部が定めた「最低保証額」に満たないとき、その差額を本部が補てんするのが、この「最低保証制度」です。
導入の背景
特に24時間営業・年中無休で運営されるコンビニエンスストア業態では、売上に季節変動や立地条件の影響が大きく、開業初期や地域によって安定収益が難しいことがあります。
そのため、最低保証制度は以下のような加盟者保護策として導入されています:
- 「売上が伸びないと生活できない」という不安の軽減
- 加盟希望者の参入障壁を下げる
- 安定収入があることで長期的な事業継続が可能になる
加盟者にとってのメリット
- 収入の最低ラインが確保されているため、安心して経営に専念できる
- 不安定な売上でも生活資金が確保できる
- 開業初期の立ち上がり時期でも経済的に大きなリスクを回避できる
特に、フランチャイズが初めての人や、資金に余裕がない状態での独立開業を考えている人にとっては、非常に心強い制度といえます。
一方のデメリット・注意点
ただし、以下のような側面からデメリットと感じる人もいます:
- 目標収入が保証されることで「最低ラインを超えれば良い」と消極的な経営になる可能性がある
- 努力しても、努力しなくても保証額が同じという心理的な甘えが生まれやすい
- 独立開業の本来の目的である「自己裁量で稼ぐ楽しさ」や「経営の達成感」が薄れることがある
- 保証額がある分、本部からの業務管理や営業ルールが厳しくなるケースもある
また、本制度を「フランチャイズ経営の自主性を損ねる」として採用していない本部も多数存在します。
特に飲食やサービス業など、オーナーの創意工夫が結果に直結する業種では、導入が少ない傾向にあります。
加盟前に確認すべきポイント
最低保証制度があるかどうかは、フランチャイズ本部ごとに異なります。加盟前には必ず以下の点を確認しましょう:
- 保証対象となる金額(月額◯円など)
- 保証期間(開業から◯ヶ月または1年など)
- 対象となる条件(営業時間、従業員数、指定立地など)
- 補填方式(差額支給 or 実質的な割引など)
本制度の有無は、収支計画や生活設計に大きく影響する要素のため、契約前にしっかりと内容を把握することが重要です。
まとめ
最低保証制度は、売上が安定しない初期フェーズや厳しい立地条件でも、加盟者が一定の収入を確保できるように設けられた保護制度です。
一方で、自律的な経営意欲とのバランスや、制度による依存心の増加といった課題もあるため、制度の有無だけでなく、その設計内容まで丁寧に確認することが求められます。