サービス・マーク

サービス・マークとは、フランチャイズなどの「サービスを提供する事業者」が自社のサービスを識別するために使用するマークやロゴなどの標章のことです。
これは、商品に対する「商標」に対して、無形の“サービス”に対する識別標章として扱われます。

法律上の位置づけ

日本では、平成3年(1991年)の商標法改正により、「役務商標(えきむしょうひょう)」としてのサービス・マークの登録制度が正式に整備されました。

これにより、たとえば以下のような事業分野でサービス・マークが法的に保護されるようになりました:

  • 飲食店、カフェ、理美容、エステなどの接客サービス業
  • 教育サービス(学習塾、英会話スクールなど)
  • 配送、修理、介護、保育、クリーニングなどの生活支援サービス

それまでは「物の商標」しか登録できなかったため、サービス業のブランド保護に大きな前進となりました。

サービス・マークの役割

  1. サービス提供者の識別
     → どの企業や店舗が提供するサービスなのかを明確にします。看板や広告に表示されるマークがその役割を果たします。
  2. サービスの品質保証
     → 継続的にサービスに付けて使用することで、「このマークがついているサービスなら安心」という消費者の信頼形成にもつながります。
  3. ブランド価値の保護
     → サービス・マークが商標登録されていれば、模倣や不正使用を法的に差し止めることができ、ブランド価値を守ることができます。

フランチャイズにおける重要性

フランチャイズビジネスでは、「同じブランドで全国にサービスを提供する」ことが最大の強みです。
そのため、本部が商標権(サービス・マークを含む)を保有し、加盟店に対してその使用権を許諾することで、ブランドの統一性と信頼性を担保しています。

具体的には:

  • ロゴマーク、店舗名、キャッチコピー、看板のデザイン
  • ユニフォームや包装資材に使われるシンボルマーク
  • サービスマニュアルに準拠した接客スタイル

などが、サービス・マークに基づいて設計されます。

注意点

サービス・マークを使用するには、以下のような点に留意が必要です:

  • 本部が商標登録しているマークかどうかを確認する
  • 使用権の範囲(期間、地域、媒体など)を契約で明確にする
  • 本部の許可なくロゴや表記を改変しない
  • 不正使用によってブランドの信頼を損なわないよう徹底管理する

加盟店にとっては、ブランドの信用力を借りて営業できる一方、ブランドルールに従った運営が求められることになります。

まとめ

サービス・マークは、フランチャイズやサービス業における「見えない価値(ブランド)」を、見える形で保護・管理するための重要な制度です。
単なるロゴではなく、信頼・品質・一貫性を象徴するマークとして、事業の成長に直結する資産です。

フランチャイズ加盟時には、このマークがどのように登録され、どう使えるのか、商標契約の内容をしっかり確認することが大切です。