今注目のバーチャルレストランで飲食店を出店したいオーナー必見!知っておきたいメリットとデメリット

2021年6月8日

新型コロナウイルス感染拡大が続く中、飲食業は営業時間の短縮や、休業要請など、通常の運営ができず、厳しい状況が続くいています。そんな中、飲食業界ではデリバリー中心の実店舗を持たない「バーチャルレストラン」と呼ばれる経営スタイルが注目を集めています。

バーチャルレストランとは?

バーチャルレストランとは、電話、またはインターネットからのみ注文をすることができ、料理をデリバーリーで届けるサービスです。元々はニューヨークが発祥の飲食業態で、クラウドキッチンやゴーストレストランなどという名称で呼ばれることもあります。

中食文化の需要が高まっている現在の日本では、日本国内では「出前館」「Uber Eats」といったデリバリーサービスの普及に伴い、新しい飲食店のスタイルとして広まりつつあります。

実店舗をもたずに低賃金で開業することができるので、費用面の負担も少ないので、廃業リスクが低く、また、準備期間も短いため、飲食店での企業を目指すオーナーには始めやすい業態となっています。

バーチャルレストランで開業するメリット

初期費用を抑えられる

店舗を構えて飲食店を開業する場合、物件取得、内装・外装工事、備品準備など、初期費用を十分に準備する必要があります。場合によっては1000万円ほどになることもあります。

それに対して、バーチャルレストランで開業する場合は、飲食店の間借りやレンタルキッチンとの契約で設備は揃うため、場合によっては数十万円でスタートすることも可能です。

人件費がかからない

飲食店オーナーでよくある悩みの一つとして、人手不足があります。しかし、バーチャルレストランは接客が不要なため、料理人含め1〜2人程度で済むので、人手不足の心配もありません。

投資回収が容易・運転資金が低い

既に上記でもあるように、条件によっては数十万円ですぐに開業できます。よって、初期投資の回収もすぐにできます。また、店舗を構える必要もないので、家賃や光熱費の支払いや雇用にかかる広告費などの費用も少なくて済みます。

業態の転用がしやすい

飲食店では、開業した事業の売り上げがいまいち伸びない場合、業態転換を検討することもしばしばあります。店舗を構えた飲食店で業態を変える場合、店舗の改装が必要となってくる場合があります。

そうなると、新業態に合わせた改装に伴い、一時的に閉店しないと新業態に業務転換をすることができません。

しかし、バーチャルレストランの場合は、オンライン上の登録内容を更新するだけで、新業態へ転換が可能です。したがって、一時閉店などのリスクを負わずに、流行に合わせて業態を変化させながら運営することが可能なため、変化の激しい状況下の中でも柔軟な業態転換が可能です。

バーチャルレストラン特有のデメリット

料理の提供までに時間がかかる

店舗を構えたレストランであれば、出来上がった料理をホールスタッフがお客様のテーブルまでスムーズに運ぶため、出来立てを提供することができます。
一方、バーチャルレストランでは調理した料理を配達員に渡して注文者へ配達と、料理を提供するまでに時間がかかってしまいます。

配達された料理を食べたお客様が、その料理に満足できないのであれば、リピーターとなることはまずないでしょう。

バーチャルレストランでは、デリバリーされた料理を美味しく提供する工夫が必要になります。調理法や使用する食材など検討しないといけない点は、バーチャルレストラン特有のデメリットです。

認知度が上がりにくい

店舗型の飲食店であれば店を構えているだけで、人々の目にとまるため、それだけで宣伝効果があり、認知度があがります。また、そのお店を知らない人でも飛び込みで入店してくれる可能性もあります。

一方、バーチャルレストランで開業した場合は、実店舗はなく、基本的にはホームページやデリバリアプリ内で注文を受け付けるため、人の目には付きにくく、アプリによっては10000店舗以上の登録があり、その中から自分の店舗を見つけてもらう必要があります。

一般的な手法としては、SNSやホームページなどを開設し、新商品紹介やコラムなど、ユーザーに有益な情報を発信しながらファンを増やし、アプローチする必要があります。

WEB広告などを利用して集客もできますが、そういった販促活動を行い、認知してもらうために少しずつお店のファンを作っていく活動は必要です。

デリバーリサービス利用による手数料の発生

デリバリアプリなどに登録して出店する場合、その媒体によってことなりますが、出店料、サービス利用料などで売り上げの30%が手数料として徴収されます。例えば1000円の注文をアプリ経由で受けた場合、手数料として300円が徴収されます。したがって、手数料を考慮した上で価格設定や販売戦略を立てる必要があります。

バーチャルレストランを開店するための3つのステップ

食品衛生責任者の資格の取得

通常の飲食店の開業と同様に、食品衛生責任者の資格を取得する必要があります。この資格は料理やお菓子など食品を販売する場合には必ず取得しないといけません。

全国どこでもこの資格を取得することは可能で、各自治体で行っている6時間前後の講習を受けることで誰でも取得することが可能です。すでに調理師や栄養士、製菓衛生師などの資格を有している場合は、上記の講習を免除して取得することが可能となっています。

参考サイト:一般社団法人東京都食品衛生協会
https://www.toshoku.or.jp/shikaku/index.html

開業拠点を決める

バーチャルレストランを出店する場合、調理をするために間借りをする方法と、キッチンが備え付けられている物件を探すクラウドキッチンを探すなどの方法があります。

いずれの条件でも、保健所の衛生検査を受け、営業許可をもらっているキッチンでないと営業することができませんので、注意しましょう。

また、配達クルーに料理を運んでもらうため、立地としては駅近くの周辺地域やオフィス街の注文が見込めるエリアを選定するのがポイントです。

また、バーチャルレストランの成長により、「クラウドキッチン」というデリバリに特化したキッチンという選択肢もあります。後ほどご紹介する「バーチャルレストランの必要設備と条件」での条件が、クラウドキッチンであればすでに揃っているので、候補の一つとして検討してみましょう。

【クラウドキッチン】

デリバリーアプリへの登録(出店)

バーチャルレストランで必須となるのがアプリへの登録(出店)です。自分のホームページを準備して注文を受け付ける方法もありますが、デリバリまでオペレーションが準備されているアプリに登録する方が、遥かに早く出店可能です。

以下に現在人気のデリバリアプリの特徴をご紹介します。

出前館

国内で人気のデリバリーアプリです。全国70,000店舗以上が出店しており、ユーザーは無料で会員登録でき、注文数に応じてランクが変動します。会員ランクごとにメールでクーポンやプレゼントが配信されることも人気のサービスとなっています。

  • 登録料:20000円(6/8現在登録料0円キャンペーン中)
  • 月額費:3000円
  • 配達代行料:売上の30%

出前館
https://corporate.demae-can.com/restaurant/

楽天デリバリー

楽天ユーザーなら会員登録不要で注文することができます。会員数が1億人と多く、出店したバーチャルレストランを幅広く知ってもらうことができます。

楽天ポイントアップキャンペーンやネット注文特典など定期的なキャンペーンでユーザーの積極的な利用が期待できます。全国10,000店舗以上の幅広いジャンルのレストランが登録されています。

  • 初回登録費:5000円
  • 月額手数料:3000円
  • 配達代行料:売上の10%

楽天デリバリー
https://delivery.rakuten.co.jp/?module=Default&action=Shiryoentryform

UberEats

日本全国の主要都市で利用することができるデリバリアプリです。世界30カ国以上で利用されているサービスのため、知名度も高いです。タブレット一つで受注ができるので配達員に料理を渡せば完了する非常にシンプルなサービスになっています。

  • 導入費:0円
  • 利用料:売上の35%

Uber Eats
https://www.ubereats.com/restaurant/ja-jp/signup?croexp=213-control

menu

元々テイクアウトから提供が始まったサービスでしたが、2020年4月からデリバリーサービスを開始しました。最近、漫画のキャラクターを起用した広告もよく見かけているため、印象に残っている方も多いかもしれません。サービス対象エリアは、主要都市中心と限定的ですが、今後拡大していく可能性は十分にあるため期待できます。

タブレットがない店舗へのレンタルも可能なため、タブレットを準備しなくても出店可能なのはmenuの特徴でもあります。

  • 初回登録費:50000円(キャンペーンにより無料出店可能)
  • 手数料:売上の34%

menu
https://store.menu.jp/

バーチャルレストランの必要設備と条件

バーチャルレストランの物件を検討する際、通常の飲食店とは違い、オンラインや電話での注文中心となり、デリバリーで料理を届けるということがメインのビジネスとなります。

物件選びには以下のポイントを押さえておきましょう。

Wi-Fi環境(インターネット環境)

バーチャルレストランの受注はオンラインによる注文中心のビジネスです。したがって、インターネット環境が整った物件であるかどうかを確認しましょう。物件によっては、建物自体がすでにインターネット環境が整っており、ネット料金が家賃に含まれているということもあります。物件の内覧をする際はその点を必ずチェックしましょう。

配達クルーの多くいる立地を選ぶ

バーチャルレストランはデリバリー中心のサービスのため、立地はどこでも良いのでは?と思う方も多いと思います。しかし、デリバリーをしてくれるクルーは駅前など特定のエリアで待機していることがほとんどです。アプリの特性上、バーチャルレストランが複数あるエリアの近くに待機するクルーに対して依頼が発生します。依頼が発生してからピックアップまでは、クルー側への報酬は発生しません。クルーたちは必然的にそういったエリアに集まりやすい傾向にあります。

営業可能日、営業できる時間帯の確認

バーチャルレストランを運営する場合、営業日が極端に少ないと、売り上げを立てるのはもちろん、認知してもらうのも難しくなります。基本、週7日間稼働ができる物件を選びましょう。

専用の物件を契約する場合は、問題ないですが、間借りをして営業する場合、1週間でどれくらい稼働できるのか、稼働できる時間帯など、契約する前に確認しましょう。

電話番号の準備

注文は電話でも受けることがあります。そのため、個人用とは別に電話番号を準備する必要があります。注文用電話番号を準備しておけば、オーダーの依頼とすぐにわかるため、トラブル回避やユーザーの信頼獲得につながります。

利用規約の確認

レンタルキッチンや間借りでバーチャルレストランを開業する場合、事前に利用する物件の利用規約を確認しましょう。借りている場合は、そのお店を大切に扱うのはもちろんですが、万が一、トラブルになった際、多額の損害賠償を請求されてしまうこともあります。

また、物件によっては、利用規約をしっかりと設けていない場合もあります。事前に利用規約を決めておくことで、もし契約違反があった場合や、なにかを壊してしまったりした場合、その賠償責任に関して、事前に取り決めた内容に沿って進めることができるため、スムーズに進めることができます。

また、家賃等の支払いに関しても期日など明確にしておきましょう。支払いトラブルでキッチンが利用できなくなってしまうとバーチャルレストランの運営自体ができなくなってしまいます。

フランチャイズとして出店できるバーチャルレストラン

バーチャルレストランは、フランチャイズとしても出店することができます。フランチャイズに加盟して出店すれば、本部のノウハウを活かした出店や販促活動、そしてなによりブランド力を最大限活用したレストラン展開が可能となります。

フランチャイズで出店すれば、資金的なサポートや、開業後の継続的な運営サポートも定期的に受けられるため、リスクを最小限に抑えることができます。

ただし、フランチャイズで出店する場合は加盟金やロイヤリティなどの費用なども発生するため、フランチャイズ起業の基本的なポイントは押さえておきましょう。

参考ページ:フランチャイズの加盟契約のフロー
https://fc-match.com/column/232

まとめ

「今注目のバーチャルレストランで飲食店を出店したいオーナー必見!知っておきたいメリットとデメリット」についてご紹介しました。

初期費用やランニングコストを抑え、費用面でのリスクは非常に低く、業態も容易に変更することが可能なため、今の時代に適用しやすいのがバーチャルレストラン事業です。フランチャイズとしても出店できるため、リスクとしては非常に低く、起業しやすい事業ではないでしょうか。

また、将来的にはバーチャルレストランから実店舗を構えるオーナーとなることも可能なため、まずはバーチャルレストランを出店するオーナーもふえています。飲食店を目指しているオーナーの方は、一度バーチャルレストランへの出店を検討してみるのも良いかもしれません。

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