全店売上高
全店売上高とは、フランチャイズチェーン全体の売上規模を示す指標です。直営店と加盟店の売上をすべて合算した総額であり、そのチェーンがどれだけの市場規模や経済インパクトを持っているかを測るために使われます。
フランチャイズでは、すべての店舗が本部の直営とは限らず、多くは加盟オーナーが個別に経営をしています。そのため、「本部の売上」だけでは全体の実態を把握できません。そこで、直営・加盟の区別なく、チェーン全体の流通金額として全店売上高が重視されるのです。
全店売上高に含まれるもの
会計上の定義として、全店売上高には次のような金額が含まれます。
- 直営店の売上
本部が直接運営している店舗の売上。 - ロイヤルティ(加盟店からの手数料)
売上の一定割合などで徴収される、本部への継続的な支払い。 - 加盟金や研修費などの一時金
新規加盟時に発生する費用。開業支援・マニュアル提供・商標使用の対価など。 - 加盟店への商品・原材料の販売額
本部が食材やパッケージ資材を供給している場合、その売上も含まれます。
これらすべてを合計した金額が、いわゆる「全店売上高」として扱われます。
なぜ全店売上高が使われるのか?
フランチャイズでは、加盟店がそれぞれ独立した法人や個人事業主として運営しているため、本部だけの売上では全体像が見えにくいという特性があります。また、業界によっては店舗ごとの売上を個別に公開していないケースも多いため、チェーンの規模や成長性を把握するには「全店売上高」が最も実用的な指標となります。
たとえば、コンビニチェーンやファストフードチェーンの業界分析、売上ランキング、出店戦略の評価などでも、この全店売上高が用いられます。投資家や取引先、加盟希望者がチェーン全体のパフォーマンスを比較する際にも重視されます。
フランチャイズにおける注意点
全店売上高はあくまで「チェーン全体の規模」を表すものであり、本部の利益や1店舗あたりの収益性とは直接関係しません。たとえば、全店売上高が大きくても、本部の取り分が少なかったり、加盟店の利益率が低ければ、実際の収益性は高くないこともあります。
そのため、資料請求や加盟検討の段階では、「全店売上高」だけで判断するのではなく、以下のような情報も合わせて確認することが重要です。
- 本部の収益モデル(ロイヤルティ、商品供給、サポート費用など)
- 加盟店1店舗あたりの平均売上・平均利益
- 売上が伸びている地域や業態の傾向
- 営業年数・閉店率などの実績指標
まとめ
全店売上高は、フランチャイズチェーン全体の「大きさ」や「勢い」を把握するための指標です。直営・加盟問わず、すべての店舗が生み出す売上を合算することで、チェーン全体の経済的な影響力を知ることができます。
一方で、この数字だけでは見えない部分も多いため、チェーン選びの際には「本部がどう収益を得ているのか」「店舗ごとの利益がどうなっているのか」といった視点も忘れずに確認することが、後悔のないフランチャイズ選びにつながります。