抱き合わせ販売
抱き合わせ販売とは、ある商品やサービスを販売する際に、それとは別の商品・サービスの購入を不当に強制する取引方法を指します。
この行為は、公正取引委員会により**独占禁止法における「不公正な取引方法」**と認定される場合があります。
たとえば、「商品Aを購入したいなら、商品Bも必ずセットで買ってください」といった条件を一方的に押しつけるようなケースが該当します。
フランチャイズにおける抱き合わせ販売の問題点
フランチャイズ本部と加盟者の関係においては、商品の仕入れや備品の調達に関して本部が仕入先を指定するケースが一般的です。特に以下のような場合、注意が必要です。
- 主要商品や原材料のほかに、副資材・関連商品・備品まで仕入先が指定される
- 本部以外からの調達を禁止される
- 価格交渉の余地がない、代替品の利用が認められない
このような状況が「合理的な理由なしに行われている場合」、抱き合わせ販売として独占禁止法に抵触する可能性があります。
本部が指定することが認められる合理的な理由
ただし、以下のような正当な業務上の理由がある場合には、仕入れ先の指定は「不当」とはされません。
- ブランドやサービスの品質統一のため
例:チェーン全体で味・接客品質・提供時間を揃えるために、特定の原材料や備品を統一する必要がある場合。 - コスト削減・スケールメリットの確保
本部が一括で仕入れ先と交渉し、安価で提供する仕組みを整えることで、加盟店にもメリットがあるケース。 - 独自のノウハウに基づく運営効率化
例:オペレーションが簡素化される仕様の機材や資材を導入することで、教育や作業時間を短縮する意図がある場合。 - 独自仕様や特注品のため、他社では代替調達が不可能
例:フランチャイズ専用に加工・設計された什器、制服、包装資材など。
こうしたケースでは、本部の指定がフランチャイズ全体の価値向上やコスト削減につながっており、「不公正」とは判断されにくくなります。
判断の基準は「不当性」の有無
最終的には、その指定が「不当な強制」かどうか、以下のような観点で判断されます。
- 加盟店側に合理的な選択肢が提示されているか
- 他の仕入先を選べる余地があるか
- 実際に競争が妨げられているか
- 加盟店に一方的な不利益を与えていないか
つまり、本部の意図や運用方法、時点での状況によって合法か違法かの線引きが分かれるということです。
まとめ
抱き合わせ販売は、フランチャイズ契約においても問題となることがある取引方法です。しかし、ブランド統一や運用効率化といった合理的な理由がある場合には合法とされるケースが多く、一概にすべてが違法というわけではありません。
加盟希望者は契約前に、
- 本部が指定する仕入先や商品の範囲
- 指定の根拠や合理性
- 自由な調達が認められているかどうか
といった点を十分に確認し、納得した上で契約することが重要です。必要であれば、開示書面や契約書を専門家と一緒に確認することもおすすめです。