7.物件についての検討方法(「面・線・点」で考える)

物件についての検討方法(「面・線・点」で考える)

フランチャイズで起業する場合、店舗を構えた起業をする方が多いと思います。

店舗の立地はビジネスを成功させる上でとても重要です。また、いくらフランチャイズ本部の恩恵を受けることができても、本部の努力で変えることはとても難しいのがこの店舗の立地です。

これから紹介するポイントを押さえておけば、立地で大きく失敗する可能性が低くなるので是非ご参考ください。

立地条件の把握

まずは、加盟したいと考えているフランチャイズ業態の「立地基準」をきちんと理解しましょう。いくら条件の良い立地を見つけても、この「立地基準」をクリアしていなければフランチャイズの看板で開業することが出来ません。

ビジネスや経営思考で「点、線、面」というワードがよく使われ、「点」から始まることが多いですが、ここで紹介する「点、線、面」は「面」からのスタートし、「点(立地)」を検討する考え方です。

立地は空間を相対的に評価し、その中の一番よい「点」を選ぶことです。よく「点」だけを見てしまったり、点から面を後付けで考えてしまったりする人がいますが、それでは良い立地条件を見つけることが難しいですし、結果フランチャイズとして起業しても成功できる確率は低くなってしまいます。

ここで紹介する立地は、面、線、点の順番で検討していき、全てが基準以上に該当する「点」を立地ポイントとします。

「面について」

「面」=商圏を指します。商圏から物件を検討することが重要です。対象とするユーザーが多くいるエリアを把握しましょう。

実際のデータは商工会議所や役所で手に入れることができるでしょう。そのデータをもとにいくつか商圏の候補地を挙げておき、今度は実際にその商圏を訪れてみてください。

これから展開しようとしている事業がこのエリアとマッチしているのか、見込める客層は潤沢にいるかなど、時間帯を変えたりして何度か訪れてみることをお勧めします。データだけでなく現地を自分の目で確かめることは重要です。 以下にチェック項目を掲載しておきますのでご参考ください。

チェック項目収集方法
1.商圏人口・世帯数・伸び率住民基本台帳・国勢調査
2.年齢別人口比率(ターゲット比率)住民基本台帳・国勢調査
3.昼間人口国勢調査
4.居住形態(賃貸、持ち家比率など)国勢調査
5.所得水準地域経済総覧(東洋経済新報社)
6.家計支出水準家計調査年報
7.貯蓄水準地域経済総覧(東洋経済新報社)
8.地元購買率消費購買行動調査(県、市町村)
9.通勤通学先国勢調査
10.自家用車保有率地域経済総覧(東洋経済新報社)

「線について」

線=動線、導線です。検討候補の物件には対象となるターゲットとなるユーザーが実際に多く往来するかどうか、また、その通行する道路から自店舗を見つけやすいかなどの導線を検討します。

奥まった立地であるとか、反対側の歩道からは遮蔽物によって見つけにくい物件はなるべく避けるようにしましょう。また、競合店舗などの立地も把握しておく必要があります。例えば自店舗よりも駅に近い競合がある場合、そちらにターゲットが流れてしまう恐れが十分にあります。

周辺環境のメリット、デメリットをしっかりと把握したうえで複数候補地を挙げておき、現地を確認していきましょう。

チェック項目収集方法
1.候補地の分かりやすさ実地調査・現地ヒアリング
2.商圏内の消費者動線の方向地図読み取り・実地調査
3.商店街(マグネット)など中心地からの店舗位置地図読み取り・実地調査
4.車線の面する方向(上り側、下り側)地図読み取り・実地調査
5.商圏分断要因(バリア)の存在地図読み取り・実地調査
6.候補地前通行量(歩行者・)実地調査・道路交通センサス
7.候補地前通行料(車両)実地調査・道路交通センサス
8.競合店舗数電話帳・業界リスト・実地調査
9.立地の優位性(対競合店)実地調査
10.今後の競合店の出店予定実地調査

「点について」

点=立地場所です。いくら「面」「線」の条件を満たしていても、フランチャイズチェーンの標準店舗面積よりも小さい物件では加盟することができない場合もあります。事前に立地基準を把握したうえで調査をしましょう。加盟する前に物件を決めてしまいたい気持ちもわかりますが、できればしっかりと立地基準を確認してから決定するようにしましょう。

見つけやすい立地かどうか、道路に面していて車などの出入りがしやすいか、道路を挟んだ反対側からでも見つけやすい立地か、周辺環境はどうかなど検討してみてください。

特に見つけやすさに関しては、自分の店舗が見つけやすい立地にあるだけで宣伝としての効果が大きいです。障害物や大通りから見て大きな建物の陰になってしまっていると、これは大きなデメリットだと考えてください。

チェック項目収集方法
1.候補地前障害物や遮蔽物の有無実地調査
2.候補地の視認性実地調査
3.候補地の立地条件(角地、一面)実地調査
4.道路との設置幅(間口)公図・実地調査
5.地形(土地の形など)公図・実地調査
6.車両の入出庫のしやすさ実地調査
7.道路との段差実地調査
8.駐車場の確保の有無(同一敷地内か)実地調査

「基準点」以上が立地の条件

物件選びのポイントは「ターゲットとなるお客さんが沢山いるエリア」で「お店に足を運びやすい場所」で「見つけやすい」の3つが条件になります。

どれか一つでも欠けていると条件に満たないので、そこに店舗を構えることはお勧めできません。

また、ここでのデメリットは他でカバーすることが非常に難しくなります。「ちょっと見つけにくいけど、ターゲットとなるお客さんは沢山いるエリアだ」という考え方はNGです。

しっかりと時間をかけて自分の目で現場を確認し、基準点以上の立地を見つけましょう。

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