損益分岐点
損益分岐点とは、売上と費用がちょうど同じになるポイントのことです。簡単に言えば、「赤字でも黒字でもない状態」、つまり利益がゼロになる売上高のラインを指します。このラインを超えると、そこから先は利益が出ていくことになります。
たとえば、ある月の売上が100万円で、経費も100万円かかったとします。この場合、利益はゼロ。つまり、この100万円が損益分岐点です。
ここで注意したいのは、「売上=利益」ではないということです。売上の中から人件費、家賃、水道光熱費、仕入れ費用などのコストをすべて引いたうえで、ようやく手元に残るのが本当の利益です。
損益分岐点を正しく理解するためには、費用の中身を「変動費」と「固定費」に分けて考えることが重要です。
変動費とは
変動費とは、売上の増減に応じて変わる費用のことです。売れた分だけ材料を使い、仕入れや配送も発生するように、売上に比例して増えたり減ったりするのが特徴です。
代表的な変動費には以下のようなものがあります。
- 原材料費・仕入れ原価
- 外注費・販売手数料
- 発送料・配送費
- 接待交際費
- 消耗品費・雑費
たとえば、ハンバーガーが1個売れれば、パンや肉、包装紙などの材料費が発生します。しかし、売れなければそれらの費用も発生しません。このように、売上に連動して増減するのが変動費です。
固定費とは
固定費とは、売上の大小に関係なく、毎月一定額発生する費用のことです。お客様が来なくてもかかる費用、つまり“店を開けるだけで発生する支出”と考えると分かりやすいでしょう。
代表的な固定費は以下の通りです。
- 人件費(社員・アルバイトの給与)
- 家賃・共益費
- リース費用(設備や車両など)
- 広告宣伝費
- 業務委託費
- 減価償却費(設備の長期使用にともなうコスト配分)
フランチャイズ店舗では、どれだけ忙しい日でも、逆に閑散期でも、これらの固定費は変わらず発生します。そのため、固定費の高さ=損益分岐点の高さに直結します。
損益分岐点を下げるには?
利益を出すためには、この損益分岐点をなるべく低く抑えることがポイントです。具体的には次のような工夫が有効です。
- 固定費を見直し、無駄な支出を減らす
- 変動費を最適化し、仕入れロスや廃棄を減らす
- 単価や来店頻度を上げて売上を増やす
たとえば、1か月の固定費が80万円、変動費率が30%の場合、損益分岐点の売上は約114万円になります。つまり、月に114万円を超える売上を出せなければ赤字ということです。
まとめ
フランチャイズ経営で安定して利益を出すには、「売上を増やす」だけでなく、「損益分岐点を正しく理解し、下げる努力をする」ことが欠かせません。
- 損益分岐点とは、利益がゼロになる売上ライン
- 売上から変動費と固定費を差し引いて、初めて利益が残る
- 固定費が多いと、それだけ損益分岐点も高くなる
- 変動費と固定費を理解することで、経営の判断力が高まる
資料請求や開業前の検討段階では、「この業態の損益分岐点はどれくらいか」「本部はどのようなコスト構造で設計しているか」など、数字の裏側に注目することで、より確実なフランチャイズ選びができます。
必要に応じて、図や計算例を使った視覚的な補足も可能です。他の用語のリライトもお気軽にご依頼ください。