フランチャイズ用語集 さ行

  • 損益分岐点

    事業始めてからある一定のタイミングで利益と損失が「0」となり、以降は利益が出るという売上高の分岐点のことを指します。売上高全てが利益ということではなく、そこから人件費、家賃、経費など諸々の費用を差し引いた最終的に残る純粋な利益をいいます。費用は売り上げに比例して増減する「変動費」と売り上げに関係なく事業を運営する上で一定額発生する「固定費」の2つがあります。

    変動費
    原材料費、仕入れ原価、外注費、販売手数料、接待交際費、発送料、消耗品費、雑費など、売上と連動して増減する費用のこと。

    固定費
    人件費、家賃、リース費、広告宣伝費、業務委託費、減価償却費など、売上に関わらず常に一定に掛かる費用のこと

  • SOHO【ソーホー】

    個人事業主がミニマムで自宅やオフィスを構えて受託業務を行う働き方、またはその仕事場のことを指します。
    日本SOHO協会ではこの定義を「ITを活用して事業活動を行っている従業員10名以下程度の事業者」としていますが、官公庁などの定義とは異なります。
    フリーランスとは異なり、SOHOは特定の場所を「職場」と定義して活動しているのに対し、フリーランスは自宅、カフェ、レストラン、その他レンタルスペースなど活動場所を特定しないで活動する働き方です。

  • セントラル・キッチン

    ファミリーレストランやコンビニのホットスナックなど、調理済みの食材を各小売店に供給するための集中調理施設のことです。大量加工、一定クオリティの品質、味の画一化、標準化など飲食店フランチャイズのサービス統一化を目的とした厨房システムです。これによりファーストフードなどはメニューの標準化、商品提供までの時短化を実現することができました。
    品質や鮮度を保つため、セントラルキッチンでは半加工状態のものが供給されることが多く、その食材の多くはカレー、シチュー、ドレッシング、ソースなどが多い。
    また、設備などもしっかりとした設備を導入する必要がなく、少ないスペースでも運営できたり、敷地面積を効率的に客席に割り当てることができるため、スペースを有効的に使えるというメリットもある。

  • 全店売上高

    一般的には次の合計金額がフランチャイズビジネス上での会計上の金額となる。

    直営店売り上げ
    ロイヤルティ
    加盟金などの収集金


    加盟店へ販売した商品の原材料費 フランチャイズにおいてはシェアや各加盟店の支配力などが明確ではないため、この「全店売上高」を持って示すことが通常である。コンビニや飲食店などの店舗実態調査をする際にもこの値を使ってチェーンの実態を表している。

  • セールス・プロモーション

    購買意欲、販売意欲を促進するために行うマーケティング活動です。

    消費者の購買意欲促進させるセールスプロモーション

    POP、什器、ノベルティ、中吊り広告、チラシ・パンフレット、試食・サンプリング、イベント、キャンペーン、クーポン、デモンストレーションなど、商品の特徴をアピール、商品認知のためにアプローチを行う施策全般。

    流通業者の販売意欲を促進させるためのプロモーション

    メーカーが卸などの提携業者に対して自社商品を取り扱ってもらったり、積極的に自社の製品を販売ししてもらったりするために行う。
    商品情報の提供、POP提供などの販売助成、まとめ買いなどによる値引き、売り上げに応じた報酬金精度などがあります。

    これらは単発で行うよりも複数を複合的に行うことで大きな成果につながるため、計画的なセールスプランを構築することが現在のセールスプロモーションの主流となっている。

  • 製品・商標型フランチャイズ

    通常のフランチャイズは本部から商標(ロゴや看板など)と商品を提供するタイプ、こちらに加えて販売方法を提供するタイプの2タイプがあります。
    製品・商標型フランチャイズは1920年ごろからアメリカの飲料ボトリング事業などの業種で確立されました。
    本部から提供されるのは商標の権利と販売するための商品だけのため、販売方法は加盟店の裁量となります。したがって一般的には「製品・商標型フランチャイズ」を導入する加盟店は一定の販路を確保しており、このタイプの事業経験が豊富な加盟希望者を対象とする形態。

  • 製造物責任法(PL法)

    製造物の欠陥が原因で消費者に対し生命や身体、財産に損害が発生した場合、製造者などにこの損害賠償の責任を負わせる法律のことを指します。

    「製造物とは」

    製造物責任法における「製造物」とは、生産者によって製造または動産のことを指します。機械などの工業製品だけではなく、食品や建物もここに含まれます。

    動産が対象のため、形をなさないサービスやコンピュータープログラムなどは「製造物」には含まれません。

    「欠陥」とは

    ここでいう欠陥とは、「製造物」を製造業者など製品を生産したものが消費者によって通常利用された際に安全に利用できない場合のことを言います。

    この「安全に利用できない」条件としては以下の3つに分類されます。

    (1)製造上の欠陥
    製造や管理工程に問題があり、設計書通りの製品に製造されておらず、利用者が安全に使用できない場合

    (2)設計上の欠陥
    製品の設計自体にそもそも問題があり、製造物自体の安全性に問題がある場合。

    (3)警告上の欠陥
    製品のパッケージ、説明書、製品本体に記載されている使用上の注意や警告が不十分である場合。

    フランチャイズにおいては、本部が製造した商品を加盟店が販売し、それによって損害を受けた消費者が、加盟店に対して損害賠償を訴えた場合、本部が責任を負うかどうかが問題となります。
    フランチャイズ本部が加盟店に商品を製造、提供する場合、こういった事態も想定し、加盟店の求償権に関しては周到な規定を設定する必要がある。

  • スーパーバイザー学校

    スーパーバイザーの育成機関として、日本フランチャイズチェーン協会が、1977年に設立しました。
    1995年以降はスーパーバイザー士の資格認定制度を設立し、FC本部のスーパーバイザーとして、知識、能力、実務を筆記、面接試験で評価し認定します。2019年度までの資格取得者は約1300名となっています。

  • スーパーバイザー(SV)

    加盟店の店舗管理を行う本部社員のことを指します。本部と加盟店の関係が円滑になる為のパイプ役的な立ち位置となります。業種によってその仕事の範囲は様々ですが、基本的な業務としては、経営指導、助言、相談など店舗運営全般のサポートを行います。
    SVはその業界における専門的な知識や実務経験、実績など担当店舗のを管理する上ではとても重要です。チェーンによってはフィールドカウンセラー、オペレーションフィールドカウンセラー、ストアアドバイザーと呼ばれることもあります。

  • ストアコンセプト

    ストアコンセプトとはサービスや商品を販売する上でその営業活動や販促方法などの基幹となる抽象的な概念のことを指します。
    ストアコンセプトの考え方は様々ですが、主に以下の3つの点を軸として定めるのが一般的とされています。

    • 「誰に」(ターゲットの設定)
    • 「何を」(提供するサービスや商品を消費することによって得られるメリット、利用価値の設定)
    • 「どんな方法で」(お店によって提供される価値の価格、商品ラインナップ、販売方法の設定)
  • 初期投資回収期間

    加盟者が、フランチャイズで起業するにあたって開業前の準備に投資する費用のことを初期投資費用と言います。それを開業後、事業で得られた収益によって回収する期間を初期投資回収機関と言います。投資回収期間の計算方法はフランチャイズ本部によって様々で、一般的には以下の計算方法が利用されます。

    投資金額÷キャッシュフロー

    投資金額は、以下の合計金額です。

    • 加盟金
    • 研修費
    • 店舗物件の保証金
    • 敷金、礼金
    • 手数料
    • 内外装工事代
    • 設備費
    • 店舗設計費
    • 什器備品
    • 開業までの前家賃
    • 従業員の給料など

    物件を契約する際の保証金、本部へ支払う一時金や保証金、開業時の広告販促費用などは一般的には投資金額には含みません。
    本部が提示する初期投資回収期間はあくまでデータを基に作成したものであり、実際にはどれくらいの期間で投資金額が回収できるかは実際に運用しながら見通しを立てます。

  • 商標

    商標とは生産者が製造または加工した製品を証明するための目印です。また、第三者によって販売される場合にも、その出所を表示、また他の商品と識別するためのシンボルとしての機能を果たします。
    継続的に商品に付与して使用することで出所の表示だけでなく品質の保証機能も果たします。
    商標が利用されることで有名になると、登録の有無にかかわらず不正競争防止法のもとで広く保護を受けることができるようになる。

  • 消費者契約法

    消費者の利益を擁護し、国民の安定した生活と、国内の経済の健全な発展を目的とした日本の法律です。
    消費者と事業者間には情報の質や量に大きな格差があり、消費者はこの点において弱い立場にあり、事業者の宣伝などの一定の行為により、消費者が商品、サービスを利用する上で誤認、困惑した場合、その契約などの承認の意思表明を取り消すことが可能な法律です。事業者の損害賠償責任の免除、他の消費者の利益を害する契約内容の全部またはその一部をできるなどの効力がある。
    フランチャイズにおいては本部と加盟者関係性は事業者同士とみなされるため、この法律は適用されません。

  • 商号

    社名の正式名称です。「株式会社○○」のように記載することが一般的です。会社の名前として登記され、税金の支払いや確定申告など、登記後はこの名前を使って行います。
    2002年10月31日までは商業登記規則により、商号にアルファベットやアラビア数字、記号などを使用することが認められていなかった。しかし、2002年11月1日以降はそれらの制限が解消され、ローマ字、アラビア数字、&(アンパサンド)などの一部の記号も認められるようになっている。

  • 商圏

    商業施設や小売店、商店街に来店が見込める顧客が住んでいる範囲を指します。一般的にはその商業施設の顧客が生活する60~70%をカバーする顧客居住エリアが一次商圏、その外側の顧客居住エリアを15~25%と区分します。この範囲は通常その中心からの半径の距離で表現され、周辺環境によりその範囲が異なります。

  • ジャストインタイム

    需要と供給が数、機会、場所に欠品なく配送する流通の仕組みです。フランチャイズ加盟店の注文に対して本部が商品を提供することを指しますが、この仕組みの構築は非常に難しく、この制度を上げることでフランチャイズ本部はフランチャイズのパッケージ価値を上げることが出来ます。
    一見地味な部分にとらえられますが、従業員の作業効率やロス計上の低減などビジネス運用の中では利益改善や効率化できるブブとなる為、非常に重要視されています。

  • 社員独立制度

    フランチャイズ本部の社員が本部を退職し、フランチャイジーとして新たにフランチャイズ契約を結び加盟者となることです。社員は一定の期間、給与をもらいながら店舗で経験を積み、フランチャイズ契約締結後、事業主として独立することを支援する制度です。
    社員側には十分な経験をした上で独立できるため、リスクを抑えた独立が可能であり、本部としてはチェーンの加盟店の増加によるシステム基盤の強化と、それぞれ大きなメリットがある制度である。

  • 私募債

    証券取引法上、有価証券の募集に該当しないものを「私募」と呼んでおり、50人未満の少数の投資家を対象として発行するものである。適格機関投資家を対象とする「私募社債」と、小規模企業が縁故者を対象とする「少人数私募債(縁故債)」 がある。特に後者は、1億円未満の起債の場合無担保で、行政への届出、通知書および告知義務は免除され、将来の収益性が評価されれば資金調達手段として有効な方法である。

  • シフト表

    店舗従業員の勤務管理表。店舗従業員の誰もが見ることのでき、週ごと、月ごとなどに分かれて作成されていることが多い。店舗オペレーションを見直すための表でもあり、基本的には店舗の代表者(オーナーや店舗リーダー)がワークスケジュールを検討しながら作成する。

  • 死に筋

    店頭に陳列されている回転率の低いまたは全く売れずに残って一部の売り場を占拠してしまっている商品群。これらの商品が店頭に並び続けることとは売り場を圧迫してしまい、売れ筋や新規商品の機会ロスにもなるため、これらの商品を早期に発見し、売り切る、または一度店頭から下げるなどして売り場を常に管理することが必要である。

  • 自主開示基準

    日本フランチャイズチェーン協会が、1999年に定めた独自基準です。協会会員の情報開示を目的とし、中小小売商業振興法の適用対象とならないフランチャイジー業種においてもこれを遵守するというものです。
    開示事項は「法定開示書面」で定められている22項目に加え、経常利益、税引後利益、役員一覧、売上高・出店数の5年間の推移(直営・加盟の別)等が追加されている。
    この書面は所属フランチャイジーに対して、フランチャイズビジネスへの加盟希望者には事前に説明、配布をするよう推奨するとともに、JAFへの提出を義務付けている。

  • 事業用借地権

    定期借地権の一種で、事業目的で一定期間地主から土地を借りることができる権利のことです。法律改定により2008年以降は10年以上50年未満という期間のなかでこの契約を結ぶことが出来る。
    また、この契約は契約更新を伴わず、契約満了時にはその土地にある建造物を解体し更地の状態で変換しないといけない。
    この契約を交わす場合は、公正証書を作成し、契約を結ぶ必要があります。借地料の設定が他の契約とは異なり、借主の収益を元に算出するケースもある。

  • サブリース

    フランチャイズ本部が加盟希望者に又貸し目的で不動産を一括借り上げすること。
    資金力は無いがマネージメントなど運用に優れた加盟希望者へ再リースし店舗開発を進めることが出来るため、本部としてはフランチャイズ発展の大きなメリットである。
    契約タイプの「タンキー型フランチャイズ」で導入されている店舗がこれに当たる。

  • サブ・フランチャイズ・システム

    上記の「サブ・フランチャイズ・システム」に記載している、サブ・フランチャイズ契約の仕組みをサブ・フランチャイズ・システムと言います。

  • サブ・フランチャイズ(エリアフランチャイズ制)

    フランチャイズ本部が、他の事業主にエリアや地域を限定してフランチャイズ権を譲渡することを指します。サブ・フランチャイザーはこの見返りとして、フランチャイズ本部に一定の対価を支払います。譲渡された事業主はサブ・フランチャイザーとなり、定められたエリア内で加盟希望者に対し、サブ・フランチャイズ契約の締結または締結のための交渉を行うことが可能です。
    また、加盟後の営業サポートからサービス提供ロイヤリティの徴収など本部同様の権利、またはその一部分が与えられる。

  • サブ・フランチャイザー(エリアフランチャイザー)

    フランチャイズ本部との契約によって、特定のエリア内に限り、新たな加盟希望者とフランチャイズ契約の締結、またはその交渉権を得た加盟店のこと。これによりサブ・フランチャイザーは加盟店舗の開発、運営を行うことが可能。商品、サービス、システム、企画などは一貫してフランチャイズ本部が行う。

  • サービス・マーク

    フランチャイズが提供するサービスについて使用する標章のことです。この制度は平成3年の商標法の改正により役務商標の登録制度が築けられました。この法律によって認可されたサービス・マークを使用することで、サービス提供元を識別ができ、サービスの品質を示す役割も果たします。

  • 再販売価格維持(再販制度)

    メーカーなどの製造業者が、小売店などの販売業者に対して、商品の販売価格を拘束する制度です。
    したがって小売店は原則的にメーカーの指定する価格から値引きなどをしての販売は禁止され、必ず定価で販売しないといけません。
    メーカーによる価格拘束は独占禁止法の第19条の不公正な取引方法の一般指定の12により原則的に禁止されていますが、著作物の過剰な価格競争を避けるため、新聞、著作物など6品目に関しては、この再販制度が日本では例外として認められています。
    アメリカなど海外では、この制度はなく、書店や電子書籍に対しての値引きも行われます。
    フランチャイズ契約の下では、加盟者は商標、商号等の使用権を利用する上で、物品販売やサービスの提供はチェーン全体で統一された方法で提供することを前提条件としている。
    したがって、本部の推奨価格の提示はある程度許容され、加盟店はそれに応じるべきであるとされている。しかし、地域的な事情や、同行不良の商品など、価格を変えて販売する必要性がある場合はその限りではない。
    本部が価格を拘束することは、独占禁止法第2条第9項4号の再販売価格の拘束に該当するため、禁止されている。

  • 最低保証制度

    売上総利益からロイヤリティを差し引き、残った額が本部の定める一定の額に満たない場合、その差額を本部負担で加盟者に支払う収入の保証制度です。
    主にコンビニエンスストアのフランチャイズでこの制度は導入されております。
    加盟店にとっては金銭的なリスクを負わずに安心して事業に取り組むことが出来るのはメリットではありますが、独立開業を志して起業したにもかかわらず、一定額の収入を得るためだけに働くことになってしまうこともあり、フランチャイズで独立開業したメリットが薄れてしまう恐れがあります。
    デメリットとしてとらえるフランチャイズ本部は、この制度の導入をしていない傾向にあります。

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